ある夜、ゲストハウス庵(いおり)大阪 に直前宿泊予約が入りました!
ネットを通しての予約でしたが、当日予約!
その時すでに夜の10時台で、通常、その時間帯に当日の宿泊予約は電話で問い合わせがあるのですが、たまにこうして予約サイトを通しての予約が入ることもあります。
「ゲストハウス庵にご予約いただきありがとうございます。何時頃ご到着予定でしょうか?」と、予約サイト上でメールをお送りしたその直後に、当館のインターフォンが鳴りました。どうやら、もう到着されたようです。
ドアを開けてみると、20代前半と思しき若い男性が立っていました。
軽く頭を下げる感じの挨拶で、特に「遅くにすみません。」とか「急な予約ですみません。」といった一言もありません。こちらとしても、宿として遅いチェックインや急な予約は普段から受け付けているので特に大したことではありませんが、そういったチェックインの場合、ゲストさんの方から何かしらひと言くださることが多いです。
中にお通しして、チェックイン・フォームに記入いただく間、
「さきほど、『何時頃ご到着予定でしょうか?』とメールをお送りしたところでしたよ。」と笑顔で投げかけると、表情が硬いままの彼は顔を上げて、
「ああ。別の人が予約取ったんです。」と返します。
ほう。
「同居人がいるんですけど、今日、人が泊まりに来るんで出てってくれって言われて。」
と彼。
「は~。彼女さんが来るとかですか?」
と、同居人がお友達であると踏んで私が聞いてみると、彼は少しずつ語り始めました。
「俺が彼女と住んでるんですけど、2,3カ月前に別れて、その後も一緒に住んでるんすよ。そんなすぐに別の物件見つかるでもないし。で、そのうちそいつに新しい彼氏ができて、今日泊まりに来るいうんすよ。」
とのことでした…。
なので、当館への予約を手配したのも彼女の方だったとのことでした…。
それからしばらく途切れ途切れではありましたがお話しして、
「お風呂、湧いてますよ。」
とお声掛けしたところ、彼はややためらいがちに、
「話ししてる方が気が紛れるんで…。」とひと言。
あまり多くを語る方ではなかったですが、独りではいたくなかったのでしょうか。
会話の流れから、彼がサッカーを観るのが好きで、そのとき開催されていたワールドカップを追っているという話になりました。彼は私にもサッカーが好きかと聞いてくれましたが、私はサッカーにあまり明るくはなく、しかし、私の英会話レッスンの受講生の中にサッカーが好きな男性が数名おられることと、以前わたしが勤務していた英会話スクールで、サンフレッチェ広島の選手を3人ほど英語指導する機会があった話をしました。その3人の中でも最初に担当させていただいた選手がおそらく3人の中で最も有名な選手で、その選手がサンフレッチェ広島に在籍していたときにサンフレッチェは優勝したのでした。
その選手の名前を出してお話ししたところ、20代前半と思しきゲストさんもその選手のことは知っていて、目を輝かせて私の話を聴いてくれました。
そんなやり取りをしていたのは夜の11時過ぎ。
その夜11時45分からワールドカップの試合があるのでテレビで観たいと彼が言いました。どの国とどの国の試合だったか思い出せませんが、なんと、その試合のコメンテーターが、ほんの30分ほど前に私が話をしていた、私が英語指導をした、元サンフレッチェ広島の選手だったのです!ゲストの彼が教えてくれました!🤭
話は変わって、その後のある日、神戸を訪れたのですが、三宮を歩いていて偶然見つけたチリ料理店に入ってみました。そのお店のマスターはお母さんが日本人でお父さんがチリの方だそうで、日本語、スペイン語、英語を話されるとのこと。以前は日本でサッカーの審判や通訳もされていたそうで、店内には有名サッカー選手の本物のユニフォームや、サイン入りサッカーボールが飾られていました!特に目を引いたのは、3つ並んで飾られてたサイン入りサッカーボールの中の、真ん中のボールの中央部分に 'Pele' というサインが見受けられたのです。 「あのサインも本物ですか?」と聞くと、
「そうです。」とマスター。
古い雑誌を持って来て、ページを開いて見せてくれたのですが、「さよならペレ」という見出しのその雑誌は、昭和52年の発刊でペレの特集が組まれていて、その中でペレが二人の少年と笑顔で写っている写真がありました。その少年のうちのひとりが、このチリ料理店のマスターだというのです!!
その後、当時はまだJリーグもなかったこともあり、サッカーを続けながらもプロのサッカー選手を目指すことなく、審判や通訳をされたそうです。
そこで、私はまたまた前述のサンフレッチェ広島の選手の英語指導の体験談をしました。🤭 すると、このマスターも前述の有名選手とはお会いされたことがあるとのことで、この選手がサンフレッチェ広島を去ったあと、スウェーデン人の新しい監督の通訳としてサンフレッチェと仕事をされていた時期のことだったそうです。
そんなあるとき、件の選手がスウェーデン人の監督と対面したときに、「サンフレッチェをよろしくお願いします。」と言われたそうで、しかし、この監督がこの選手の以前の功績を知らないのを見て取った通訳の彼はその場で「かつてサンフレッチェを優勝に導いた方です。」と付け加えたそうです…。😢
そのほかにも、通訳者になってからもペレと会ったことがあるそうで、
「ペレとは何語で話すのですか?」と聞くと、
「私はスペイン語で、彼はポルトガル語で。北海道の人と九州の人が話すようなもんですよ。」と教えてくれました。
そんなペレがこの世を去ったのは、このやり取りのほんの11日後のことでした…。⚽
このマスターの哀しみは計り知れません…。
R.I.P. Pele!
神戸三宮にあるチリ料理店グラン・ミカエラ・イ・ダゴ
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